世界で初めてのヘモグロビン・サーモダイナミックス(15)

ヘモグロビンの協同性 Ⅱ

fig-9 において

logP = logP₀ - log { 1 + [H⁺]/ Ka1 +  Ka2 /[H⁺]}

をそのまま図に表すと縦方向の変動が少ないものとなります。
そこで縦軸を3倍 { (logP)/3 } に拡大しています。

肺胞の毛細血管内において

また、黄色→部分の溶媒和に基づくギブスエネルギー値の上昇値(正)とギブスエネルギー値の低下(以下、反応 ΔGという。)(負)を追加しました。
ギブスエネルギー値の低下は肺胞の毛細血管内における酸素分子とデオキシヘモグロビンとの配位結合形成反応に基づくものです。
そして反応 ΔGの値は(-)logP値に変換しました。

 -logP=⊿G/2.3RTです。 

(4)デオキシヘモグロビンAと酸素分子とから、(2)オキシヘモグロビンAを生成する際に、
配位結合を形成して、高スピンFe++錯体から低スピンFe++錯体への転換を伴っている事等から、

溶媒和を考慮しない反応ギブスエネルギー値の変化( 反応 ΔG)は負の値です。
反応 ΔG(負) を (-)logP値に変換した値は ⊿G/2.3RT です。 

反応ΔGの(-)logP値に変換された値は全て等しい負の値です。

黄色→部分の溶媒和に基づくlogP値の上昇値(正)と紺色部分の反応 ΔG(負) の (-)logP値に変換された値 ⊿G/2.3RTの下降値(負)との和は負の値となるので、
肺胞の毛細血管内での最初の酸素分子とデオキシヘモグロビンとの反応は自発過程となり得ます。

色塗りした部分

黄色→部分を除き、色塗りした部分を上から下に向かって読み取ります。
同じ色の領域の和が縦方向に長い程ギブスエネルギー値の低下(負)が大きくなります。

黄色→部分

そして 黄色→部分のギブスエネルギー値は上昇(正)しているので下から上に向かって読み取ります。
黄色→部分の溶媒和に基づくギブスエネルギー値の上昇値(正)と紺色部分の反応ΔG(負)との和は小さな負の値になります。

中間体である色塗りした同じ色部分の和(負)は上方部分よりも下方部分のほうがギブスエネルギー値の低下(負)に大きく貢献しています。

体の組織の末端において

色塗りした部分を上から下に向かって読み取ります。
縦方向に長い程ギブスエネルギー値の低下(負)が大きくなります。
上方部分よりも下方部分のほうがギブスエネルギー値の低下(負)に大きく貢献しています。

この領域内で溶媒和に基づくデオキシミオグロビンとオキシミオグロビンとのギブスエネルギー値の差は一定値になります。
色分けした部分の相対的な関係に影響を与えないので省略しました。

肺胞の毛細血管内と体の組織の末端との双方に於いて

1分子の酸素分子が反応を開始すると、
直ちに4分子の酸素分子が反応する様子が理解できます。

実測値はfig-10の様になるかもしれません。
説明はfig-9と同じ。

 

 

 

未完