世界で初めてのヘモグロビン・サーモダイナミックス (6)

書き換えた"世界で初めてのヘモグロビン・サーモダイナミックス(6)"

血液のpH値は6.8~7.8
(4)デオキシヘモグロビンAのpKaは8.2
(2)オキシヘモグロビンAのpKaは6.96
(1)logP₀と(2)logP₀または(3)logP₀と(4)logP₀は近似するものと想定します。


fig-5の黄色の領域

fig-5の黄色の領域は6.8≦pH≦7.8で、
ΔrG₀total = ー2.3RT[{(3) logPー(1)logP }+{(2) logPー(4)logP }] = 2.3RT[{(1) logPー(3)logP }+{(4) logPー(2)logP }]≦ 0である領域です。

斯かる領域は血液のpH値内 (6.8~7.8)で、 かつ  ΔrG₀aqtotal 値変化の総和 が 0 以下となる領域です。
fig-5の黄色の領域内で(2)オキシヘモグロビンAから(3)デオキシミオグロビンへの酸素分子の移動は自発的です。

その領域でΔrG₀total ≦ 0になります。  ΔrG₀total = ΔrG₀aqtotal であるから、
その時aq層の溶質のギブスエネルギー値変化の総和 も負になります。 ΔrG₀aqtotal ≦ 0

fig-5の黄色の領域内で、
(2)オキシヘモグロビンAと(3)デオキシミオグロビンとから、
(4)デオキシヘモグロビンAと(1)オキシミオグロビンとへの反応は、
自発的になります。

人の血液のpH値の範囲内(6.8 ~7.8)では低pH値の領域に属する体の末端の組織内で、
(1)オキシミオグロビンが生成してその中の酸素分子は代謝過程に使われます。

fig-5の黄色の領域内での酸素分子の移動を伴う化学反応に基づくギブスエネルギー値の変化の総和は、事実上相殺関係にあることから考慮しないものとしました。


pH値の変動によるギブスエネルギー値の変動

異なるpKa値(pI値)を有する溶質の間では、pH値の変動による溶媒和の大きさの変動が同じではないことから、
pH値の変動によるギブスエネルギー値の総和の変動を考慮の対象としました。

当該反応の出発物質のpKa値(pI値)と生成物のpKa値(pI値)が異なることから、
pH値の変動によるそれらの溶媒和の大きさが異なることに基づいて、

ギブスエネルギー値の総和も変動することを考慮の対象としました。
fig-4を見て下さい。上記の意味が解り易くなります。
 
(4)デオキシヘモグロビンAと酸素分子とから(2)オキシヘモグロビンAを生成する反応。

fig-4の(2)logPと(4)logPとが交差する点の右側のpH値の領域でΔrG₀total値変化の総和 が負の値になります。
fig-6に ー{(4) logPー(2)logP}  = (2)logPー(4)logP  を示してあります。

fig-6のピンク色の領域内で (2)logPー(4)logP < 0 が成立します。
fig-6のピンク色の領域は人の血液のpH値の範囲内のうちで高pH値の領域です。

fig-6のピンク色の領域内でΔrG₀total=ー2.3RT {(4) logPー(2)logP}  = 2.3RT[(2)logPー(4)logP]<0  なので、
水溶液中における溶質のギブスエネルギー値変化の総和(ΔrG₀aqtotal<0)も負になります。

fig-6のピンク色の領域内でΔΔrG₀totalは負です。
この時のΔΔrG₀aqtotalも同じ絶対値において負の値になるので、
fig-6のピンク色の領域を右側に移動するとΔrG₀aqtotal値変化総和 である負の値の絶対値は大きくなります。

(4)デオキシヘモグロビンAと酸素分子とから、
(2)オキシヘモグロビンAを生成する際に、

高スピンFe++錯体から低スピンFe++錯体への転換を伴っている事等から、
溶媒和を考慮しない反応ギブスエネルギー値の変化は負の値です。

溶媒和を考慮した反応ギブスエネルギー変化も負の値です。
それら負の値の和は負の値になるので、
肺においてデオキシヘモグロビンA(4)と酸素分子とから、

オキシヘモグロビンA(2)を生成する反応は、
速やかに進行する自発的なものになります。

 

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