世界初のインドアニリン色素形成反応速度論(3)

活性点未置換型フェノール系又はナフトール系カプラーからのインドアニリン色素形成反応

活性点未置換型フェノール系又はナフトール系カプラー(以下、4等量カプラーと呼ぶ。)。

4等量カプラーの弱塩基アニオンがHOMOになり、
N,N-ジアルキルパラフェニレンジアミンの二電子酸化体である弱酸N,N-ジアルキルキノンジイミンがLUMOになります。

4等量カプラーのアニオン(HOMO)と
N,N-ジアルキルキノンジイミン(LUMO)とのCoupling反応により C-N 一重結合が形成され、
C-N結合はさらに上記二電子酸化体により二電子酸化を受けると C=N 二重結合が形成され色素になります。
このインドアニリン色素形成反応はCoupling反応が律速であると解されます。

 

活性点置換型フェノール系又はナフトール系カプラーからのインドアニリン色素形成反応

活性点置換型フェノール系又はナフトール系カプラー(以下、2等量カプラーと呼ぶ。)。

脱離可能な原子または置換基が活性点の炭素に導入されたところの2等量カプラーのアニオン(HOMO)と
N,N-ジアルキルキノンジイミン(LUMO)とがCoupling反応してC-N結合が形成されると、
協奏的ニ分子反応であるαβ脱離反応が速やかに進行してC=N結合が形成され色素になります。

αβ脱離反応は塩基によるβ位窒素上の水素原子の引き抜きとα位活性点炭素上の脱離基の脱離反応とから成ります。
このインドアニリン色素形成反応中ではCoupling反応が律速反応と解されます。
(Coupling反応律速の範囲内で論じています。)

活性点炭素上の水素原子が置換されていると、
その活性点炭素の分子軌道係数(Cmrr)は減少するので、
Coupling反応の反応速度定数は活性点炭素未置換の場合に比べて小さくなってしまいます。

この様にCoupling反応が律速であると考え、第三項を用いて反応速度を説明し解釈することができるものとなります。

反応原材料となっているN,N-ジアルキルキノンジイミン(LUMO)を稀薄な状態で反応させる時に、
2等量カプラーのCoupling反応については、
意義を見出すことができるという一定の事情があります。


 
もっともメトキシ基等の脱離反応速度が遅い脱離基を活性点置換成分に導入すると、
脱離反応が律速になってしまいます。
(Coupling反応律速の範囲内ではなくなってしまいます。)

Coupling反応の反応速度は速くなっているはずなのにインドアニリン色素形成速度が遅い場合の説明になります。
以下、主としてCoupling反応が律速反応である場合について考えています。

 

上記2等量カプラーのCoupling反応の反応速度定数が、
4等量カプラーの場合に比べて小さくなっても、

当該Coupling反応のLUMO (N,N-ジアルキルキノンジイミン)が稀薄な状態という一定の事情の下で、
2等量カプラーからのインドアニリン色素形成速度は速くなる場合があります。

世界で初めてのインドアニリン色素形成反応速度論が回りはじめています。