世界初のインドアニリン色素形成反応速度論(2)

フェノール系又はナフトール系カプラーのCoupling反応

Coupling反応速度定数=k
 k=( kb・T/h ) { exp ( ΔrS°++/R ) } { exp ( -ΔrH°++/R T) }             
ΔrH°++ ≈ E₀-RT 
反応次数項は省略

E₀はカップリング反応の活性化エネルギーであり、
E₀の下降によりカップリング反応速度は速くなります。

   ⊿Etotal=-qr・qs / Rrs  + 2(Cmrr・ Cnss・⊿β)² /(E*nrーE*ms)     
   (第二項クーロン項) (第三項電子移動相互作用項)   (第一項は省略)

  式中、
  E*nr はカプラーアニオンHOMOのエネルギー順位、   
  E*msはキノンジイミンLUMOのエネルギー順位、
 Cmrrはカプラー活性点炭素上のHOMOの分子軌道係数、  
 Cnssはキノンジイミン反応点窒素上のLUMOの分子軌道係数、 
 ⊿βはC-N結合生成に伴い生ずる安定化エネルギーであり、
 共鳴積分の変化量相当です。

homoとlumoとの電子移動相互作用の絶対値 | ⊿Etotal | が減少するることと反応速度とは直接関連するものではありませんが、
当該関連性を類推できる場合があります。
既述のhomo とlumoとのCoupling反応はその類推できる場合です。

そういう訳で、電子移動相互作用の絶対値が減少することによって、活性化エネルギー(E₀)は大きくなり、Coupling反応速度常数が減少し、Coupling反応速度が遅くなってしまいます。

絶対値を用いた表現をしているのは⊿Etotalは通常負の値だからです。
以下、電子移動相互作用 ⊿Etota の大きさについてはその絶対値をもって論じています。

弱酸と弱塩基の反応の結果共有結合(シグマボンド)が形成される反応は、第三項電子移動相互作用項支配で説明することが出来ます。

E*nr とE*msとの差を減ずることが有利です。

分母を小さくすると電子移動相互作用 ⊿Etotal を大きくすることが出来ます。

電子移動相互作用することで結合が生成してエネルギー的に安定になり、エネルギー順位の低い値が実現されます。

E*nr とE*msとの差は脱離速度が律速ではない範囲内で小さくすることが重要です。