世界初のインドアニリン色素形成反応速度論(9)

1H-ピラゾロ[5,1-C] [1,2,4] トリアゾール (以下、ピラゾロトリアゾールと呼ぶ。)。 

ピラゾロトリアゾールはカプラーです。

4等量のピラゾロトリアゾールの母核上の置換基の種類によって、
そのカプラーのHOMOのエネルギー順位は適正な範囲内であっても高いもの(H)と低いもの(L)とがあります。

それらのカプラーの活性点の炭素原子にハロゲン原子を導入すると、
そのカプラーの(ネクスト)HOMOのエネルギー順位は低下します。

(ハロゲン原子をカプラー活性点の炭素に導入た場合には、
HOMOのエネルギー順位だけではなくネクストHOMOのエネルギー順位をも考慮する必要があります。)

(H)の場合に(ネクスト)HOMOのエネルギー順位は適正な範囲内であって、ハロゲン化された2等量カプラーは充分なカップリング反応性を示します。
(L)の場合には(ネクスト)HOMOのエネルギー順位は適正な範囲を超えて低下し、ハロゲン化された2等量カプラーは不充分なカップリング反応性を示します。

なお、ピラゾロトリアゾール(H)から生じるシアン色素を、
ピラゾロトリアゾール(L)から生じるシアン色素と比べてみると、

トリアゾール側において短波化して吸収波形のショルダーとなって現れています。
(世界初のインドアニリン色素形成反応速度論(6)参照)


フェノールカプラーと2-カルバモイルナフトールカプラー

従来の4等量フェノールカプラーを(H)とし4等量2-カルバモイルナフトールカプラーを(L)とした場合においても、同様な現象が起きていました。

(H)も(L)も充分なカップリング反応性を示します。
(H)の活性点をハロゲン化した2等量カプラーは充分なカップリング反応性を示します。
(L)の活性点をハロゲン化した2等量カプラーは不充分なカップリング反応性を示します。

従って、これらの現象はこのブログにおいて述べてきた論理に基づき説明することが出来ます。

アゾメチン色素形成反応

カップリング反応速度における、4等量カプラーと2等量カプラーとの関係及び、
色素形成反応速度における、4等量カプラーと2等量カプラーとの関係並びに、
カップリング反応速度と色素形成反応速度との関係は、
アゾメチン色素形成反応においても、このブログにおいて述べてきた論理に基づき説明することが出来ます。

HOMO : Highest Occupied Molecular Orbital   最高被占軌道
LUMO : Lowest Unoccupied Molecular Orbital  最低空軌道

表題のとうりである反応速度論そのものを除き、
本ブログに記載された事実は全て周知または公知の内容です。

参考文献等:更なる詳細については以下の出版物等を参照されたい。

The Theory of the Photographic Process FOURTH EDITION Edited by T.H.James MACMILLAN PUBLISHING CO., INC.
分子軌道法 広田 穣 著 裳華房
フロンティア軌道法入門 I.フレミング 著 福井 謙一 監修 竹内 敬人・友田 修司 訳 講談社サイエンティフィク
演習有機反応 稲本 直樹・秋葉欣哉・岡崎廉治 著 株式会社 南江堂
物理化学 Raymond Chang 著 岩澤 康裕・北川 禎三・濱口 宏夫 訳 東京化学同人
KONICA MINORUTA TECHNOLOGY REPORT VOL2 (2005)
https://research.konicaminolta.com/jp/pdf/technology_report/2005/pdf/treatise_014.pdf

Klopman/ Salem Equation

en.wikipedia.org


http://ramsey1.chem.uic.edu/chem533/page5/page10/files/Klopman-Salem%20Equation.pdf