世界初のインドアニリン色素形成反応速度論(8)

活性点が置換されている2-カルバモイルナフトール

ⅰ)2-カルバモイルナフトールの活性点の炭素にハロゲン原子を導入すると、
(ネクスト)HOMOのエネルギー順位(E*nr)は下降して適正な範囲以下になってCoupring反応が遅くなってしまいます。

(ハロゲン原子をカプラー活性点の炭素に導入た場合には、
HOMOのエネルギー順位だけではなくネクストHOMOのエネルギー順位をも考慮する必要があります。)

「世界で初めてのインドアニリン色素形成反応速度論(4)」に記載した k'>>k の場合該当して、
インドアニリン色素形成反応速度は遅くなって充分な色素濃度範囲以下となってしまいます。

ⅱ)2-カルバモイルナフトールの活性点に、
酸素原子を介して置換基を導入すると、
HOMOのエネルギー順位(E*nr)は適正な範囲内で上昇します。

Coupring反応性を損なうことはないけれど、
活性点炭素上の分子軌道係数(Cmrr)の減少は避けられないので、
Coupring反応を促進する値にまでには至りません。

それでも魔法の世界は回ります!

⊿Etotal=ーqr・qs / Rrs +2(Cmrr・ Cnss・⊿β)² /(E*nrーE*ms)     
 (第二項クーロン項) (第三項電子移動相互作用項)  (第一項は省略)

式中

E*nr はカプラーアニオンHOMOのエネルギー順位、
E*msはキノンジイミンLUMOのエネルギー順位、
Cmrrはカプラー活性点炭素上のHOMOの分子軌道係数、
Cnssはキノンジイミン反応点窒素上のLUMOの分子軌道係数、
⊿βはC-N結合生成に伴い生ずる安定化エネルギーであり共鳴積分の変化量相当です。